胃ろうをつけたまま退院|自宅での管理と訪問看護の役割
- 宮本 真一郎
- 6 日前
- 読了時間: 9分
更新日:5 日前

「胃ろうをつけたまま自宅に退院することになった」
そう聞くと、
「家族だけで管理できるのだろうか」「栄養剤の注入は毎日できるだろうか」「胃ろうが抜けたり、詰まったりしたらどうしよう」「夜中に何かあったら、どこに連絡すればいいのだろう」
と不安になるご本人・ご家族は少なくありません。
胃ろう(胃瘻・PEG)があるからといって、自宅での生活をあきらめなければならないわけではありません。
大切なのは、退院前から胃ろうの管理方法や緊急時の対応を確認し、主治医、病院、訪問看護、ケアマネジャーなどが連携して、在宅療養を支える体制を整えておくことです。
ROKU訪問看護ステーションでは、大阪市浪速区・大国町を中心に、胃ろうや経管栄養など医療処置が必要な方の在宅療養を支援しています。
私たちが大切にしているのは、胃ろうという「処置」だけを見ることではありません。
ご本人がどこで、どのように暮らしたいのか。ご家族が何に不安を感じているのか。
そこまで含めて考えながら、自宅での生活を支えていきます。
胃ろうとは?
胃ろうとは、お腹から胃につながる小さな通り道をつくり、そこから栄養剤や水分、薬などを投与する方法です。
口から十分な栄養や水分をとることが難しい方や、長期間の経管栄養が必要な方などに用いられます。
脳血管疾患、神経難病、認知症、がん、嚥下機能の低下など、胃ろうが必要になる背景は人によってさまざまです。
また、胃ろうを造設したからといって、必ず「一生口から食べられない」という意味でもありません。
口から食べられるかどうかは、病気や嚥下機能、全身状態などによって異なります。
必要に応じて主治医や歯科医師、言語聴覚士などと連携し、嚥下状態を評価しながら、その方に合った方法を検討します。
胃ろうがあっても自宅で生活できます
病院では看護師が行っていた胃ろうの管理を、退院後は自宅で続けることになります。
そのため、
「病院を出た途端に家族だけで全部しないといけない」
と感じてしまう方がおられます。
しかし、在宅療養はご家族だけで支えるものではありません。
訪問診療、訪問看護、ケアマネジャー、薬局、介護サービスなどを組み合わせながら、ご本人とご家族が無理なく生活を続けられる体制をつくることが大切です。
胃ろうという医療処置があるから。
家族が不安だから。
その理由だけで「自宅は無理」と決めてしまうのではなく、どうすれば自宅で過ごせるのかを退院前から一緒に考えていきます。
自宅ではどのような胃ろう管理が必要?
胃ろうの種類や栄養剤、注入方法は一人ひとり異なります。
一般的には、次のような内容を確認しながら管理していきます。
1.胃ろう周囲の皮膚を観察する
胃ろう周囲に、
赤みがないか
腫れていないか
痛みがないか
出血していないか
膿や滲出液が出ていないか
栄養剤や胃液が漏れていないか
肉芽が大きくなっていないか
などを確認します。
胃ろうの周囲は毎日の観察と清潔を保つことが重要です。
「昨日までは大丈夫だったのに少し赤くなってきた」
という小さな変化を早めに見つけることが、皮膚トラブルの悪化を防ぐことにつながります。
2.栄養剤や水分の注入状況を確認する
退院時に指示された栄養剤の種類、量、回数、注入速度などを確認します。
注入中や注入後には、
吐き気
嘔吐
お腹の張り
腹痛
下痢
便秘
咳き込み
痰の増加
呼吸状態の変化
などがないかも大切な観察ポイントです。
単に「決められた栄養剤を入れる」だけではなく、その栄養が今の体に合っているのかを生活の中で確認していきます。
3.チューブの詰まりや破損に注意する
胃ろうのチューブは、栄養剤や薬剤などによって詰まることがあります。
また、チューブの劣化や接続部分の破損などが起こる場合もあります。
「いつもより入りにくい」「注入すると抵抗がある」「接続部分から漏れている」
など、普段と違うことがあれば、無理に注入せず、訪問看護師や主治医などへ相談してください。
胃ろうが抜けた時はどうする?
ご家族が特に不安に感じやすいトラブルの一つが、胃ろうカテーテルの抜去です。
胃ろうは、衣服や介助中に引っ掛かったり、本人が触ったりすることで抜けてしまうことがあります。
特に胃ろうを造設して間もない時期に抜けた場合は、瘻孔が十分に完成しておらず、重大なトラブルにつながる可能性があります。
また、造設から時間が経過している場合でも、胃ろうが抜けたまま時間が経つと、瘻孔が狭くなったり閉じたりする可能性があります。
胃ろうが抜けた場合は、自己判断で無理に戻そうとせず、退院時に説明された方法に従い、主治医や訪問診療、訪問看護などへ速やかに連絡してください。
「夜間に抜けたらどこへ連絡するのか」
まで退院前に決めておくことが非常に重要です。
このような時は早めに相談してください
胃ろうを管理している中で、次のような変化がある場合は早めの相談が必要です。
胃ろうが抜けた、または位置がおかしい
栄養剤や水分が注入できない
胃ろう周囲の赤みや腫れが強くなってきた
出血や膿がある
胃液や栄養剤の漏れが増えた
強い腹痛がある
発熱がある
嘔吐を繰り返している
お腹の張りが強い
咳や痰が急に増えた
呼吸が苦しそう
いつもより元気がない
ご家族が「何かおかしい」と感じる
すべてが緊急事態というわけではありません。
しかし、「いつもと違う」という感覚は大切です。
判断に迷った時に相談できる場所を決めておくことも、在宅療養では重要です。
訪問看護では胃ろうの何を見る?
訪問看護師は、胃ろうだけを見ているわけではありません。
例えば、
胃ろう周囲の皮膚状態
チューブや接続部の状態
栄養剤の注入状況
腹部の張り
嘔吐や下痢、便秘
体重や栄養状態
水分摂取状況
発熱
呼吸状態
咳や痰
嚥下状態
口腔内の状態
日常生活の姿勢
ご本人の表情や体調
ご家族が困っていること
などを確認します。
胃ろうは、その人の生活の一部分です。
「胃ろうがきれいだから大丈夫」ではなく、その方が自宅でどのように過ごしているのかまで見ることが訪問看護では大切です。
ご家族への支援も訪問看護の役割です
胃ろうのある方が退院するとき、ご家族からよく聞かれるのが、
「病院ではできたけれど、家で一人でできる自信がありません」
という言葉です。
退院前に説明を受けても、実際に自宅へ戻ると分からないことが出てくるのは珍しいことではありません。
訪問看護では、ご家族と一緒に実際の自宅環境で方法を確認しながら、
「このやり方で大丈夫です」
「ここを少し変えると介助しやすいですよ」
など、その家庭に合った方法を一緒に考えます。
ご家族が医療者と同じように完璧にできることを目指すのではありません。
無理なく、安全に、生活として続けられることが大切です。
退院前に確認しておきたいこと
胃ろうをつけたまま自宅へ退院する場合は、できれば退院前に次の内容を確認しておきましょう。
胃ろうの種類
胃ろうを造設した日
次回の交換予定
栄養剤の種類
1回の注入量
1日の注入回数
注入速度
水分量
薬の投与方法
注入前後の注意点
胃ろう周囲のケア方法
チューブが詰まった場合の対応
胃ろうが抜けた場合の対応
夜間・休日の連絡先
訪問診療の主治医
訪問看護の開始日
必要な物品と入手方法
特に、
「胃ろうが抜けた時にどこへ連絡するのか」
は、退院前に必ず確認しておきたい項目です。
退院前から訪問看護へ相談できます
訪問看護は、退院してから探す必要はありません。
胃ろうをつけた状態で退院することが決まった時点から、病院の地域連携室や退院支援担当者、ケアマネジャーを通して相談することができます。
退院前から情報共有しておくことで、
「どのような胃ろうなのか」
「ご家族がどこまで手技を習得しているのか」
「退院直後はどのくらい訪問が必要なのか」
「夜間の対応をどうするのか」
「訪問診療との役割分担をどうするのか」
などを整理しやすくなります。
退院してから困って相談するのではなく、困りそうなことを退院前から一緒に考えておくことが大切です。
病院・ケアマネジャーの方へ
胃ろうや経管栄養が必要な方の退院支援では、ご家族の手技習得だけでなく、退院後の生活を見据えた支援体制が重要です。
ROKU訪問看護ステーションでは、退院前カンファレンスからのご相談にも対応しています。
胃ろうだけでなく、
吸引
在宅酸素
尿道カテーテル
気管カニューレ
人工呼吸器
褥瘡
点滴
ストーマ
など、複数の医療処置が必要な方についてもご相談ください。
ご本人の状態、ご家族の介護力、訪問診療や介護サービスなどを確認しながら、在宅で支えられる方法を一緒に検討します。
胃ろうがあっても、「自宅で過ごしたい」を簡単にあきらめない
胃ろうをつけることになった時、
「もう普通の生活には戻れないのではないか」
「自宅に帰るのは難しいのではないか」
と感じる方もおられます。
しかし、胃ろうはその人の人生そのものではありません。
大切なのは、
どこで過ごしたいのか。誰と過ごしたいのか。どのような生活を続けたいのか。
その思いです。
ROKU訪問看護ステーションでは、
「自分の家族も看たいと思える看護を、地域に届ける」
ことを大切にしています。
医療処置があるから。退院直後だから。家族が不安だから。
その理由だけで、自宅で過ごす選択肢をあきらめない。
主治医、病院、ケアマネジャー、訪問診療、介護事業所などと連携しながら、ご本人とご家族にとって現実的な方法を一緒に考えていきます。
浪速区・大国町周辺で胃ろうの訪問看護をお探しの方へ
ROKU訪問看護ステーションは、大阪市浪速区・大国町を中心に、胃ろう・経管栄養など医療処置が必要な方の在宅療養を支援しています。
「胃ろうをつけたまま退院すると言われた」
「家族だけで管理できるか不安」
「胃ろう以外にも吸引や在宅酸素が必要」
「退院直後から訪問看護に入ってほしい」
「夜間や休日の状態変化が心配」
「この状態でも自宅で過ごせるのか相談したい」
そのような段階からでもご相談ください。
病院関係者・ケアマネジャーの方からのご相談、退院前カンファレンスからのご相談にも対応しています。
ご本人とご家族が、住み慣れた場所で安心して生活できるように。
ROKUは医療処置だけではなく、その方の「暮らし」と「人生」を見ながら支えていきます。
執筆者:宮本 真一郎
看護師。救急・急性期、手術室、離島医療を経験後、訪問看護に約8年間従事。癌末期・難病・医療依存度の高い方への訪問看護、在宅看取り、ご家族への支援に携わる。ROKU訪問看護ステーション代表。







コメント