退院後すぐに訪問看護を利用するメリット|最初の1週間を安心して過ごすために
更新日:8月20日

「退院できるのはうれしいけれど、家に帰ってからが不安」
「病院では看護師さんがしてくれていた処置を、家族だけでできるのだろうか」
「薬が増えて、きちんと管理できるか心配」
「夜間や休日に具合が悪くなったら、どこへ連絡すればよいのだろう」
退院が決まると、安心する気持ちと同時に、自宅での生活に対する不安が出てくることがあります。
病院では医師や看護師が近くにいて、決まった時間に薬や食事が準備され、体調の変化にも対応してもらえます。
しかし、自宅に戻ると、ご本人とご家族が中心となって生活を組み立てなければなりません。
退院直後の訪問看護は、病院で受けていた医療や看護を、そのまま自宅へ持ち込むだけのサービスではありません。
病院で決められた治療や療養方法が、実際の自宅生活で無理なく続けられるかを確認し、必要に応じて主治医やケアマネジャーなどと調整する役割があります。
退院後の最初の1週間に問題が起こりやすい理由
入院中に説明を受けていても、自宅に戻って初めて分かる問題があります。
例えば、
ベッドからトイレまで思ったより遠い
病院では歩けていたが、自宅では段差を越えられない
薬の種類や時間が分からなくなった
食事や水分が思うように取れない
医療処置に必要な物品が足りない
家族が一人で介助できない
夜間の体調変化にどう対応すればよいか分からない
どの症状で主治医へ連絡すべきか判断できない
といった問題です。
退院前に立てた計画と、実際の自宅生活には差が生じることがあります。
訪問看護では、その差を早い段階で見つけ、ご本人やご家族だけで抱え込まないよう支援します。
訪問看護は退院前から相談できます
訪問看護は、退院して自宅で困ってから探すものではありません。
退院前から訪問看護ステーションへ相談し、病院の主治医、看護師、退院支援担当者、ケアマネジャーなどと情報共有しておくことで、自宅療養の準備を進めやすくなります。
ROKUでも、退院前カンファレンスへの参加や、病院・主治医・ケアマネジャーとの情報共有に対応しています。
ケアマネジャーがまだ決まっていない場合や、退院後に複数の介護サービスが必要な場合は、ROKUケアプランセンターでもご相談いただけます。
退院前に確認したい10項目
1.現在の病状と、予測される変化
退院できる状態になったとしても、病気が完全に治ったとは限りません。
自宅で予測される症状、悪化した時の対応、受診や救急要請の目安を確認します。
ご家族が「何となくおかしい」と感じた時に、誰へ連絡するかを決めておくことが重要です。
2.薬の種類と服用時間
退院時には薬の内容が変更されることがあります。
朝・昼・夕・寝る前のどの時間に飲むか
食前・食後のどちらか
頓服薬はどのような時に使うか
薬を飲めなかった時はどうするか
自分で管理できるか
一包化や服薬カレンダーが必要か
を確認します。
入院前から自宅に残っていた薬と、退院時に新しく処方された薬が混在すると、重複や飲み間違いにつながることがあります。
初回訪問時には、自宅にある薬を一緒に確認することが大切です。
3.医療処置の内容
次のような医療処置がある場合は、誰が、いつ、どのように行うかを退院前に確認します。
点滴
在宅酸素
吸引
胃ろう・経管栄養
尿道カテーテル
人工肛門
褥瘡や創傷の処置
インスリン注射
中心静脈栄養
ドレーンや医療機器の管理
訪問看護では、主治医の指示に基づき、在宅酸素、カテーテル、ドレーン、褥瘡処置、リハビリテーションなどの支援が行われます。
ご家族が行う処置についても、実際の自宅環境で手順を確認し、無理なく継続できる方法を考えます。
4.必要な物品と入手方法
病院では処置に必要な物品が準備されていますが、自宅では保管場所や補充方法まで考える必要があります。
ガーゼ
手袋
消毒用品
注射や点滴に必要な物品
吸引チューブ
経管栄養に必要な物品
尿バッグ
褥瘡処置材
などについて、どこから支給されるのか、誰が注文するのか、足りなくなった時はどうするかを確認します。
5.食事と水分
退院後は、入院中より食事量や水分量が減ることがあります。
食欲がない
むせる
食事に時間がかかる
水分を取ろうとしない
食事を準備する人がいない
食事形態が自宅で再現できない
といった問題がないか確認します。
看護師は、食事量、水分量、体重、口腔内、むせ、発熱、痰などを観察し、必要に応じて主治医や関係職種へ相談します。
6.排泄方法
入院中はトイレへ行けていても、自宅ではトイレの場所、段差、便器の高さ、夜間の移動などが問題になることがあります。
トイレまで安全に移動できるか
ポータブルトイレが必要か
おむつや尿器を使用するか
便秘時の薬をどう使うか
尿道カテーテルの管理が必要か
を確認します。
排泄の問題は、ご本人の尊厳だけでなく、ご家族の介助負担にも大きく影響します。
7.移動・転倒・福祉用具
病院と自宅では、床の材質、廊下の幅、段差、家具の配置が異なります。
必要に応じて、
介護用ベッド
手すり
車いす
歩行器
シャワーチェア
ポータブルトイレ
体圧分散マットレス
などを準備します。
退院日に間に合うよう、ケアマネジャーや福祉用具事業所と早めに調整することが重要です。
8.通院と訪問診療
退院後も通院が必要な場合、
誰が付き添うか
車いすで移動できるか
階段やエレベーターに問題がないか
介護タクシーが必要か
通院が難しい場合、訪問診療を利用できるか
を確認します。
訪問看護は、主治医の代わりに診断や薬の処方を行うものではありません。
通院する主治医または訪問診療医と連携し、日常の状態変化を報告します。
9.緊急時の連絡先
退院前に、次の連絡先を一つにまとめておくことをおすすめします。
主治医・病院
訪問診療医
訪問看護ステーション
ケアマネジャー
薬局
医療機器事業者
救急要請が必要な症状
「まず誰に電話すればよいか」が分からない状態では、ご家族の不安が強くなります。
訪問看護ステーションの24時間連絡体制を利用する場合も、どのような症状で連絡するのか、緊急訪問が可能な条件などを事前に確認します。
10.ご家族が無理なく続けられるか
退院支援では、医療処置ができるかどうかだけでなく、ご家族が生活を続けられるかを確認する必要があります。
「家族だからできるはず」
「退院するためには自分が頑張らなければならない」
と考え、負担を抱え込むご家族もいます。
訪問看護では、技術の習得状況だけでなく、
夜間に眠れているか
仕事と介護を両立できるか
一人で抱え込んでいないか
不安や疲労が強くないか
代わりに介助できる人がいるか
も確認します。
必要に応じて、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具などの利用をケアマネジャーと相談します。
初回訪問では何を確認しますか?
退院後の初回訪問では、主に次の内容を確認します。
退院後の体調変化
血圧、脈拍、体温、呼吸状態
痛み、息苦しさ、発熱、むくみ
食事量、水分量
排尿、排便
睡眠
服薬内容と残薬
医療処置と必要物品
傷や褥瘡、皮膚の状態
ベッドからの起き上がりや歩行
ご家族の介助状況
緊急時の連絡方法
病院の情報と実際の状態に違いがある場合は、主治医や病院、ケアマネジャーへ連絡し、必要な支援を調整します。
退院後に起こりやすい問題
薬を正しく飲めない
退院時に薬が変更され、飲み方が分からなくなることがあります。
薬袋だけでは管理が難しい場合は、一包化、服薬カレンダー、薬箱などを検討し、薬局とも連携します。
食事・水分が取れない
自宅へ戻った安心感から食欲が戻る方もいますが、環境の変化や疲労、嚥下機能の低下によって摂取量が減る方もいます。
食事ができない状態が続く場合や、むせ、発熱、意識状態の変化がある場合は、早めに主治医へ報告します。
転倒する
退院当日や翌日は、移動に慣れていないため注意が必要です。
特に夜間のトイレ、玄関、浴室、ベッド周辺などは、動線と照明を確認します。
医療処置が予定どおりできない
処置方法が分からない、物品が不足している、機器のアラームが鳴るなど、自宅で初めて問題が起こることがあります。
自己判断で中止や変更をせず、訪問看護師や主治医、医療機器事業者へ連絡します。
ご家族が疲れ切ってしまう
退院直後は、ご家族が緊張して眠れないことがあります。
介護を続けるためには、ご家族が休む時間を確保することも大切です。
「まだ始まったばかりだから」と我慢せず、負担が強い段階で相談してください。
退院直後からリハビリを始める意味
退院後に活動量が大きく減ると、入院中にできていた動作が難しくなることがあります。
訪問リハビリでは、
ベッドから起きる
椅子へ座る
トイレへ移動する
自宅内を歩く
入浴する
着替える
家事を再開する
など、実際の自宅生活に必要な動作を確認します。
理学療法士・作業療法士が住環境を評価し、ご本人に合った動作方法や福祉用具を提案します。
ROKUの訪問リハビリでは、退院後すぐにリハビリが必要な方、看護とリハビリを同時に導入したい方、家族の介助負担が大きい方などについても相談を受けています。
内部リンク:退院後の訪問看護・リハビリについて詳しく見る
退院前カンファレンスで共有したい内容
退院前カンファレンスでは、病院の主治医、看護師、リハビリ職、退院支援担当者、ケアマネジャー、訪問診療医、訪問看護師などが情報を共有します。
確認したい内容は次のとおりです。
病名とこれまでの治療経過
退院時の身体・認知機能
医療処置
服薬内容
食事形態
移動・排泄・入浴方法
ご本人とご家族の希望
予測される体調変化
緊急時の対応
初回訪問日
各職種の役割
退院後に誰が何を担当するのかを明確にすることで、支援の抜けを防ぎやすくなります。
特に退院前から相談してほしいケース
次のような場合は、退院後ではなく退院前から訪問看護へご相談ください。
点滴や医療処置を続ける
在宅酸素、吸引、胃ろうがある
褥瘡や傷の処置が必要
尿道カテーテルやストーマがある
がん末期・終末期である
食事や水分摂取に不安がある
転倒リスクが高い
認知症や高次脳機能障害がある
一人暮らし、または高齢者世帯
ご家族の介護負担が大きい
夜間・休日の体調変化が心配
退院後すぐにリハビリが必要
訪問診療医やケアマネジャーが決まっていない
よくあるご質問
退院日が決まっていなくても相談できますか?
相談できます。
退院日が決まってからでは、医療機器、福祉用具、訪問診療、訪問看護などの調整が間に合わない場合があります。
退院の可能性が出た段階で、病院の退院支援担当者や訪問看護ステーションへご相談ください。
退院当日から訪問してもらえますか?
病状、主治医の指示、必要な処置、訪問看護ステーションの受け入れ状況などによって異なります。
退院日と初回訪問日を事前に調整する必要がありますので、早めにご相談ください。
訪問看護指示書は誰が依頼しますか?
訪問看護は、主治医が交付する訪問看護指示書に基づいて行います。
病院の退院支援担当者、ケアマネジャー、訪問看護ステーションなどが連携し、主治医へ依頼する流れを確認します。
要介護認定がなくても相談できますか?
病状や年齢などによっては、医療保険による訪問看護を利用できる場合があります。
利用する保険や制度は個別の状況で異なるため、訪問看護ステーションや病院の相談員へご確認ください。
家族が医療処置をできなくても退院できますか?
医療処置の内容、ご本人の状態、ご家族の状況、訪問可能な回数などによって異なります。
ご家族だけで抱え込むのではなく、主治医、病院、訪問看護ステーションなどと相談し、どのような体制なら自宅療養が可能かを検討します。
浪速区で退院後の訪問看護をお探しの方へ
ROKU訪問看護ステーションでは、大阪市浪速区・大国町を中心に、退院後の在宅療養を支援しています。
退院前カンファレンスへの参加、病院からの情報共有、退院後の状態観察、医療処置、服薬管理、ご家族への支援、理学療法士・作業療法士によるリハビリなどに対応しています。
ROKUでは、医療依存度の高い方、退院直後の方、がん末期・終末期の方、難病の方などについても相談を受けています。
「まだ退院日が決まっていない」
「訪問看護を利用するか迷っている」
「家族だけで医療処置ができるか不安」
という段階でも構いません。
退院してから慌てて準備するのではなく、ご本人とご家族が安心して自宅生活を始められるよう、退院前から一緒に準備します。
執筆者:宮本 真一郎
看護師。救急・急性期・手術室・離島医療を経験後、訪問看護に約8年間従事。癌末期・難病・医療依存度の高い方への訪問看護、在宅看取り、ご家族への支援に携わる。ROKU訪問看護ステーション代表。






