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脳卒中(脳梗塞・脳出血)の訪問リハビリ|退院後に自宅で確認したい7つのポイント

宮本 真一郎
8月2日
読了時間: 12分

「病院では歩けていたのに、自宅へ帰ると動きにくそうにしている」

「トイレまでの移動や、ベッドからの立ち上がりが心配」

「手足の麻痺は軽いと言われたけれど、薬の管理や家事が難しくなった」

「退院後もリハビリを続けた方がよいのだろうか」

脳梗塞や脳出血などの脳卒中で入院し、病院でリハビリを行った後も、自宅へ戻ると新たな困りごとが見つかることがあります。

病院の廊下やリハビリ室では歩けていても、自宅には狭い廊下、段差、家具、敷物、トイレでの方向転換など、その家特有の環境があります。

訪問リハビリの役割は、病院で行っていた訓練を自宅で繰り返すことだけではありません。

実際に生活する環境で、ご本人が困っている動作を確認し、

「自分でトイレへ行きたい」

「家族と食卓を囲みたい」

「もう一度買い物に行きたい」

など、ご本人が続けたい生活を一緒に考えることが大切です。

ROKU訪問看護ステーションでは、看護師と理学療法士・作業療法士が連携し、脳卒中後の体調管理、生活動作、転倒予防、高次脳機能障害、ご家族への介助支援などを行っています。

※本記事では、訪問看護ステーションの理学療法士・作業療法士が、主治医の訪問看護指示書に基づいて行うリハビリテーションを「訪問リハビリ」と表現しています。


脳卒中とは

脳卒中は、脳の血管が詰まったり、破れたりすることで、脳の機能に障害が起こる病気の総称です。

大きく分けると、次の3つがあります。

  • 脳の血管が詰まる「脳梗塞」

  • 脳の血管が破れる「脳出血」

  • 脳動脈瘤などが破裂する「くも膜下出血」

本記事では、在宅で訪問看護・訪問リハビリの相談を受けることが多い、脳梗塞・脳出血後の自宅生活を中心に解説します。


脳卒中後の困りごとは、手足の麻痺だけではありません

脳卒中後に現れる症状は、手足の麻痺だけではありません。

脳の損傷した場所や範囲によって、次のような症状がみられることがあります。

  • 手足に力が入りにくい

  • 身体の片側の感覚が分かりにくい

  • バランスを崩しやすい

  • 言葉が出にくい

  • 相手の話を理解しにくい

  • 食事や水分でむせる

  • 疲れやすくなった

  • 集中が続かない

  • 新しいことを覚えにくい

  • 動作の手順や段取りが分からない

  • 身体の片側や、片側にある物に気付きにくい

  • 感情を抑えにくくなった

  • 自分の症状を自覚しにくい

歩けるようになり、外見上は回復したように見えても、注意力、記憶、判断力、感情のコントロールなどに問題が残ることがあります。

そのため、脳卒中後の訪問リハビリでは、筋力や歩行能力だけでなく、生活動作、認知機能、服薬、食事、家族関係などを含めて確認することが重要です。


脳梗塞と脳出血でリハビリの内容は違いますか?

脳梗塞と脳出血では、病気が起こる仕組みや急性期の治療、再発予防の方法が異なります。

一方、退院後のリハビリでは、病名だけで内容を決めるのではありません。

  • どこに麻痺があるか

  • 感覚障害があるか

  • 座る・立つ・歩くことができるか

  • 高次脳機能障害があるか

  • 飲み込みや会話に問題があるか

  • 血圧や全身状態が安定しているか

  • 自宅でどのように過ごしたいか

  • ご家族がどの程度介助できるか

などを確認し、一人ひとりに合わせて支援内容を考えます。

脳梗塞だからこの運動、脳出血だからこの訓練と、病名だけで一律に決めるものではありません。

主治医の指示、退院時の情報、現在の体調を確認しながら、安全に進めることが大切です。


脳卒中の退院後に自宅で確認したい7つのポイント

1.ベッド・椅子・トイレへの移乗

退院後に最初に困りやすいのが、ベッドから起き上がる、椅子から立つ、車いすへ移る、トイレに座るといった動作です。

病院では、

  • ベッドの高さが調整されている

  • 廊下やトイレに手すりがある

  • 床が平らで物が少ない

  • 看護師や療法士が近くにいる

など、動きやすい環境が整っています。

一方、自宅では、

  • ベッドが低すぎる

  • 椅子が柔らかく沈み込む

  • つかまる場所がない

  • 車いすを置くスペースが狭い

  • トイレ内で方向転換できない

  • 麻痺側に壁や家具がある

といった問題が見つかることがあります。

訪問リハビリでは、実際に使用するベッド、椅子、車いす、トイレを確認しながら、安全な動作方法を考えます。

足を置く位置や身体の動かし方だけでなく、ベッドの高さ、手すり、家具の配置、福祉用具についても検討します。


2.歩行と転倒予防

脳卒中後は、筋力がある程度回復していても、感覚障害、注意障害、バランス低下、疲労などが原因で転倒することがあります。

特に注意したいのは、次のような場面です。

  • 狭い廊下で方向転換する

  • 玄関や浴室の段差を越える

  • 夜間にトイレへ行く

  • 急いで立ち上がる

  • 敷物や電気コードをまたぐ

  • 物を持ちながら歩く

  • 会話をしながら移動する

  • 麻痺側にある家具や壁へ近づく

訪問リハビリでは、「何メートル歩けるか」だけでなく、普段どの場所で、どのように歩いているかを確認します。

杖や歩行器を使用していても、身体や住環境に合っていなければ、十分に活用できない場合があります。

理学療法士が歩き方、バランス、方向転換、立ち上がりなどを確認し、必要に応じて福祉用具事業所やケアマネジャーと連携します。


3.麻痺した手と日常生活動作

脳卒中後のリハビリでは、麻痺した手を動かす練習だけでなく、日常生活の中でどのように使うかを考えることが重要です。

例えば、

  • 着替える

  • 歯を磨く

  • 顔を洗う

  • 食器を押さえる

  • ドアを開ける

  • スマートフォンを操作する

  • 財布からお金を出す

  • 洗濯物をたたむ

  • 調理器具を使う

など、その方が実際に行いたい動作を確認します。

作業療法士は、手の動きだけでなく、姿勢、道具の形、置き場所、動作の手順なども含めて評価します。

麻痺した手だけで全てを行うことにこだわらず、反対側の手や自助具を使いながら、安全に生活できる方法を考えることも大切です。

また、麻痺した腕を無理に引っ張ると、肩の痛みや損傷につながることがあります。

ご家族にも、安全な支え方や着替えの介助方法をお伝えします。


4.高次脳機能障害への生活支援

脳卒中後には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが現れることがあります。

例えば、

  • 薬を飲んだことを忘れる

  • 火や電気を消し忘れる

  • 複数の指示を聞くと混乱する

  • 着替えや料理の順番が分からない

  • 予定を立てて行動できない

  • 会話中に話がそれてしまう

  • 以前より怒りやすくなった

  • 相手の気持ちを考えにくくなった

  • 自分には問題がないと思っている

といった変化です。

これらは、単なる性格の変化や、本人の努力不足ではありません。

高次脳機能障害は、外見から分かりにくいため、ご本人とご家族の双方が「なぜ以前のようにできないのか」と悩むことがあります。

訪問リハビリでは、実際の生活環境で、

  • 予定を一つずつ伝える

  • 薬を置く場所を固定する

  • カレンダーやチェック表を使用する

  • 動作の手順を写真や文字で示す

  • 周囲の刺激を減らす

  • ご家族の声かけを統一する

  • できる作業と難しい作業を整理する

など、ご本人に合った方法を考えます。

本人に何度も注意するだけではなく、間違いが起こりにくい環境をつくることも大切です。


5.食事・飲み込み・コミュニケーション

脳卒中後は、飲み込みの機能が低下し、食事や水分でむせることがあります。

次のような変化がある場合は注意が必要です。

  • 食事中にむせる

  • 水分でせき込む

  • 食後に声が濁る

  • 食事に時間がかかる

  • 口の中に食べ物が残る

  • 痰が増えた

  • 発熱を繰り返す

  • 食事量や水分量が減った

  • 体重が減ってきた

むせが少ないからといって、飲み込みに問題がないとは限りません。

訪問看護師は、食事量、水分量、体温、呼吸状態、痰、口腔内の状態などを確認します。

専門的な嚥下評価や訓練が必要な場合は、主治医や言語聴覚士、歯科医師などの関係機関と連携します。

また、失語症や構音障害によって、言葉が出にくい、ろれつが回りにくい、相手の話を理解しにくいこともあります。

急かしたり、本人に代わってすぐに答えたりせず、伝えやすい方法を一緒に探すことが重要です。


6.服薬・血圧・体調管理と再発予防

脳卒中後は、リハビリだけでなく、再発を防ぐための体調管理も重要です。

自宅では、次のような点を確認します。

  • 処方薬を正しく飲めているか

  • 飲み忘れや重複がないか

  • 退院前の薬が残っていないか

  • 血圧や脈拍に大きな変化がないか

  • 立ち上がった時にふらつかないか

  • 食事や水分を取れているか

  • 通院を継続できているか

  • 喫煙や飲酒を含む生活習慣を見直せているか

脳梗塞と脳出血では、使用する薬や再発予防の考え方が異なります。

また、血圧の目標値も、脳卒中の種類、血管の状態、年齢、持病などによって異なります。

自己判断で薬を中止したり、量を変更したりせず、主治医の指示に従う必要があります。

看護師は、自宅での血圧、服薬状況、食事量、ふらつきなどを確認し、気になる変化を主治医へ報告します。


7.ご家族の介助負担

退院直後は、ご家族が、

「自分たちで頑張らなければならない」

「入院中にできていたのだから、家でもできるはず」

と考え、必要以上に介助を抱え込んでしまうことがあります。

しかし、過剰に身体を持ち上げたり、麻痺した腕を引っ張ったりすると、ご本人とご家族の双方に負担がかかります。

訪問リハビリでは、実際の生活場面で、

  • どこを支えればよいか

  • どこまで本人に任せるか

  • 転倒した時にどう対応するか

  • 入浴やトイレをどう介助するか

  • 麻痺した腕をどのように扱うか

  • 福祉用具を使った方がよいか

を確認します。

介助方法だけで解決するのではなく、訪問介護、通所サービス、福祉用具、ショートステイなどを組み合わせ、ご家族が休める体制をつくることも重要です。


看護師・理学療法士・作業療法士の役割


看護師

  • 血圧、脈拍、体温、呼吸状態の確認

  • 服薬内容と服薬状況の確認

  • 食事、水分、排泄、睡眠の確認

  • むせ、発熱、痰などの状態観察

  • 褥瘡や皮膚トラブルの予防

  • 再発を疑う症状の確認

  • 主治医への報告と連携

  • ご本人・ご家族からの療養相談


理学療法士

  • 寝返り、起き上がり、立ち上がり

  • ベッドや車いすへの移乗

  • 歩行、方向転換、バランス

  • 転倒予防

  • 関節の動きや筋力への支援

  • 杖、歩行器、車いすの確認

  • 手すりや住環境の提案

  • ご家族への介助方法の説明


作業療法士

  • 食事、更衣、排泄、入浴などの生活動作

  • 麻痺した手の使用方法

  • 高次脳機能障害への生活上の工夫

  • 家事や外出の再開

  • 趣味や本人の役割への支援

  • 自助具や生活用品の提案

  • 生活リズムの再構築

  • ご家族への声かけや関わり方の説明

ROKU訪問看護ステーションには、看護師と理学療法士・作業療法士が在籍しています。

歩行や筋力だけを見るのではなく、血圧、服薬、食事、排泄、認知機能、自宅環境、ご家族の負担などを共有しながら支援します。

看護師とリハビリ専門職が同じステーションにいることで、医療面と生活面の変化を日常的に共有できることがROKUの特徴です。


突然の症状は訪問日を待たず救急要請を

脳卒中を経験した方に、次のような症状が突然現れた場合は、次回の訪問看護を待たず、救急要請を検討してください。

  • 顔の片側がゆがむ

  • 片方の腕や足に力が入らない

  • 急に言葉が出なくなる

  • ろれつが回らなくなる

  • 話している内容を理解できない

  • 急にふらつき、歩けなくなる

  • 突然、経験したことのない強い頭痛が起こる

  • 意識が悪くなる

  • けいれんが起こる

症状が一度軽くなった場合でも、脳卒中の可能性を否定できません。

脳卒中は突然発症することが多く、早く専門的な治療を受けることが重要です。


訪問リハビリはいつから相談すればよいですか?

次のような状況がある場合は、退院前または退院後早期からの相談をおすすめします。

  • 病院では動けているが、自宅環境に不安がある

  • 転倒した、または転倒しそうになった

  • トイレや入浴の介助が難しい

  • 高次脳機能障害が疑われる

  • 薬や血圧の管理に不安がある

  • 食事中のむせや食事量低下がある

  • ご家族の介助負担が大きい

  • 退院後、活動量が急に減った

  • 外来リハビリへの通院が難しい

  • 家事や外出を再開したい

  • 一人暮らしを続けられるか確認したい

歩けなくなってからではなく、生活の中で少し困り始めた段階から相談することで、現在の能力を自宅生活に生かす方法を考えやすくなります。


よくあるご質問

脳梗塞でも脳出血でも訪問リハビリを利用できますか?

病名だけで利用の可否が決まるわけではありません。

現在の病状、主治医の指示、自宅での生活状況、必要な支援などを確認したうえで、利用を検討します。


発症から時間が経っていても利用できますか?

発症から時間が経過している場合でも、自宅での生活動作、転倒予防、介助方法、福祉用具、高次脳機能障害などについて相談できます。

目的は、症状を大きく改善することだけではありません。

現在できている動作を維持する、ご家族の介助負担を減らす、安全に外出できる環境を整えるといった目標もあります。


看護師とリハビリを一緒に利用できますか?

利用できます。

脳卒中後は、身体機能だけでなく、血圧、服薬、食事、排泄、皮膚状態なども確認する必要があります。

看護師と理学療法士・作業療法士が情報を共有することで、医療面と生活面の両方から支援できます。


高次脳機能障害があっても相談できますか?

ご相談いただけます。

記憶、注意、動作の手順、感情のコントロールなど、生活の中で起きている困りごとを確認し、ご本人に合った環境や関わり方を考えます。


飲み込みや言葉の問題にも対応できますか?

看護師や療法士が食事場面、むせ、会話の状況などを確認します。

専門的な嚥下・言語評価や訓練が必要な場合には、主治医や言語聴覚士などの関係機関との連携を検討します。


医療保険と介護保険のどちらを利用しますか?

年齢、要介護認定の有無、病状、主治医の指示、利用するサービスによって異なります。

個別の状況を確認したうえでご案内しますので、主治医、ケアマネジャー、訪問看護ステーションへご相談ください。


浪速区で脳卒中後の訪問看護・訪問リハビリをお探しの方へ

ROKU訪問看護ステーションでは、大阪市浪速区・大国町を中心に、脳梗塞・脳出血など、脳卒中後の在宅生活を支援しています。

看護師と理学療法士・作業療法士が連携し、

  • 退院後の体調管理

  • 服薬・血圧管理

  • 歩行、移乗、転倒予防

  • 更衣、排泄、入浴などの生活動作

  • 高次脳機能障害への生活支援

  • 麻痺した手の使い方

  • ご家族への介助指導

  • 福祉用具や住環境の相談

  • 主治医、病院、ケアマネジャーとの連携

などを行います。

「退院後、自宅で生活できるか分からない」

「看護師とリハビリの両方に来てほしい」

「病院でできていたことが、自宅ではできない」

「高次脳機能障害への対応方法が分からない」

という段階でもご相談ください。

ご本人が住み慣れた自宅で、どのような生活を続けたいのかを一緒に考えます。


【退院後すぐに訪問看護を利用するメリット】


執筆者:宮本 真一郎

看護師。救急・急性期・手術室・離島医療を経験後、訪問看護に約8年間従事。癌末期・難病・医療依存度の高い方への訪問看護、在宅看取り、ご家族への支援に携わる。ROKU訪問看護ステーション代表。




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訪問看護ステーション

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TEL 06‐6643-9926​

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