パーキンソン病に訪問リハビリは必要?すくみ足・転倒・生活動作を自宅で支える方法
- 宮本 真一郎
- 7月29日
- 読了時間: 11分

「家の中で転ぶことが増えてきた」
「歩き始めようとしても、足が前に出ないことがある」
「薬が効いている時と切れている時で、動きが大きく違う」
「トイレや入浴の介助が大変になってきた」
パーキンソン病の方が自宅で生活していると、このような変化が少しずつ現れることがあります。
病院では歩けていても、自宅では玄関の段差や狭い廊下、家具の配置、トイレでの方向転換などによって動きにくくなることがあります。
訪問リハビリの大きな特徴は、実際に生活している自宅を訪問し、普段困っている動作や環境を確認できることです。
ROKU訪問看護ステーションでは、大阪市浪速区・大国町を中心に、看護師と理学療法士・作業療法士が連携し、パーキンソン病の方の在宅生活を支援しています。
※リハビリの内容や効果には個人差があります。病状や体調を確認し、主治医の指示に基づいて支援します。
パーキンソン病では、なぜ自宅生活が難しくなるのか
パーキンソン病では、身体の動きがゆっくりになる「動作緩慢」、筋肉がこわばる「筋強剛」、手足のふるえ、姿勢を立て直しにくくなる姿勢保持障害などがみられます。
症状の現れ方や進行には個人差がありますが、生活の中では次のような困りごとにつながることがあります。
歩き始めの一歩が出にくい
足が床に張り付いたようになり、前に出ない
歩幅が小さくなり、前のめりになる
方向転換でバランスを崩す
椅子やベッドから立ち上がりにくい
着替えやトイレに時間がかかる
夜間、身体が動かしにくい
薬の効き方によって動きやすさが変わる
転倒への不安から外出や活動が減る
また、便秘、睡眠の問題、血圧の変動、疲れやすさ、気分の落ち込みなど、運動以外の症状が生活に影響することもあります。
そのため、歩行や筋力だけを見るのではなく、服薬状況、全身状態、生活動作、自宅環境、ご家族の介助負担まで含めて考えることが大切です。
パーキンソン病の方に訪問リハビリが役立つ場面
すくみ足や歩きにくさがある
すくみ足とは、歩こうとしても足が前に出ず、床に張り付いたようになる状態です。
特に次のような場面で起こりやすくなります。
歩き始め
方向転換
狭い場所を通る時
玄関やエレベーターの出入り
トイレや浴室への移動
急いでいる時
複数のことを同時にしようとした時
訪問リハビリでは、単に廊下を歩く練習をするだけではありません。
実際に足が止まりやすい場所や動作を確認し、ご本人に合った動き出し方、声かけ、目印の使い方、動作の手順などを一緒に検討します。
一般的に有効とされる方法でも、すべての方に同じように合うとは限りません。ご本人の症状や認知機能、住環境に合わせて、安全な方法を考えることが重要です。
転倒が増えてきた
パーキンソン病では、前のめりになって歩く、方向転換でふらつく、身体を立て直しにくいなどの理由から、転倒の危険性が高くなることがあります。
しかし、転倒の原因は身体機能だけではありません。
床に置かれた物
めくれやすい敷物
ベッドや椅子の高さ
夜間の照明
トイレまでの動線
手すりの位置
杖や歩行器が身体に合っているか
薬が切れて動きにくくなる時間帯
など、生活環境や時間帯も関係します。
理学療法士が歩行やバランス、立ち上がり、方向転換などを評価し、必要に応じて福祉用具や家具配置、手すりなどについて提案します。
「転ばないように、できるだけ動かない」という生活になると、筋力や体力が落ち、さらに動きにくくなることもあります。
安全を確保しながら、ご本人が続けられる活動を考えることが大切です。
立ち上がりや移乗が難しくなった
椅子やベッドから立ち上がる動作は、毎日の生活で何度も行います。
立ち上がりが難しくなると、ご本人だけでなく、介助するご家族の負担も大きくなります。
訪問リハビリでは、
足を置く位置
身体を前に倒すタイミング
手を置く場所
椅子やベッドの高さ
車いすや手すりの位置
ご家族が支える場所
などを、実際の生活環境で確認します。
ご本人が持っている力をできるだけ生かし、過剰な介助を減らすことは、ご本人の能力を守るだけでなく、ご家族の腰痛や身体的負担を減らすことにもつながります。
理学療法士が行う支援
理学療法士は、寝返り、起き上がり、座る、立つ、歩くといった、生活の基本となる動作を支援する専門職です。
パーキンソン病の方に対しては、状態に応じて次のような支援を行います。
関節の動きや身体のこわばりへの運動
姿勢を保つための練習
立ち上がりや移乗の練習
歩行や方向転換の練習
バランス練習
体力や筋力の維持
転倒しやすい動作の確認
杖、歩行器、車いすなどの確認
ベッドや家具、手すりなどの環境調整
ご家族への介助方法の説明
大切なのは、訓練室の中だけで動けるようにすることではありません。
「自宅のトイレまで安全に行く」
「家族と食卓を囲む」
「近所まで散歩する」
など、ご本人が実際の生活で行いたいことを目標に支援します。
作業療法士が行う生活リハビリ
作業療法士は、食事、更衣、排泄、入浴、家事、趣味など、その人の日常生活に関わる動作を支援する専門職です。
パーキンソン病では、身体は動かせても、動作を始めるまでに時間がかかったり、複数の動作を順番に行うことが難しくなったりすることがあります。
例えば、着替えでは、
服を選ぶ
袖を通す
ボタンを留める
姿勢を保つ
という複数の動作が必要です。
訪問リハビリでは、実際に使っている衣服や家具、生活用品を確認しながら、動作を行いやすくする方法を考えます。
作業療法士による主な支援には、次のようなものがあります。
更衣、食事、整容動作の練習
トイレや入浴動作の確認
家事動作の練習
動作の手順を分かりやすくする工夫
疲労に配慮した活動量の調整
生活リズムを整える支援
趣味や本人の役割を続けるための支援
自助具や生活用品の提案
ご家族への関わり方の説明
「歩けるかどうか」だけでなく、その人らしい生活をどのように続けるかという視点を大切にします。
薬が効いている時間と切れている時間を確認します
パーキンソン病では、薬が効いて身体を動かしやすい時間と、薬の効果が弱くなり動きにくい時間がみられることがあります。
病院を受診した時には動けていても、自宅では特定の時間帯に立ち上がれない、トイレへ行けないということもあります。
そのため、訪問時だけの動きを見るのではなく、
薬を飲んだ時刻
動きやすくなるまでの時間
動きにくくなる時間帯
転倒が起きた時間
食事やトイレが難しい時間
眠気、ふらつき、血圧の変化
夜間の動きにくさ
など、生活全体の変化を確認することが重要です。
訪問看護師と理学療法士・作業療法士が情報を共有し、気になる変化があれば、主治医やケアマネジャーなどの関係者へ報告・相談します。
訪問看護ステーションが薬の内容を独自に変更することはありませんが、自宅で起きている変化を具体的に伝えることは、治療や生活支援を考えるうえで大切です。
看護師とPT・OTが同じチームで支える意味
パーキンソン病の在宅療養では、リハビリだけでなく、医療面や体調面の確認も必要です。
看護師は、次のような点を確認します。
血圧、脈拍、呼吸などの全身状態
服薬状況と薬の効き方
便秘や排尿の状態
食事量、水分量、体重変化
飲み込みやむせの有無
睡眠や夜間の状態
皮膚トラブル
認知面や精神面の変化
ご家族の介護負担
理学療法士・作業療法士は、身体機能、歩行、生活動作、自宅環境などを確認します。
ROKU訪問看護ステーションには、看護師と理学療法士・作業療法士が在籍しています。
それぞれが別々に支援するのではなく、日々の変化を共有しながら、
「最近、薬が切れる時間に転倒が増えている」
「便秘が続いた後に動きが悪くなっている」
「夜間のトイレ介助で家族が疲れている」
といった、生活の中で起きている問題を一緒に考えます。
ROKUが大切にしているのは、訓練のためだけのリハビリではなく、医療面と生活面の両方から自宅での暮らしを支えることです。
ご家族への介助指導も大切な支援です
パーキンソン病の方を介助しているご家族からは、次のような相談があります。
「立たせる時は、身体を引っ張ってもよいですか」
「足が止まった時に、後ろから押してもよいですか」
「転倒が怖くて、どこまで本人に任せてよいか分かりません」
「夜中のトイレ介助がつらくなってきました」
介助する力が強すぎると、ご本人が持っている力を使いにくくなったり、ご家族の腰や肩に負担がかかったりすることがあります。
訪問リハビリでは、実際のベッド、椅子、トイレ、浴室などを使用しながら、安全で負担の少ない介助方法をご家族へお伝えします。
介助方法だけでなく、福祉用具やサービスの利用、生活動線の変更なども含めて検討します。
訪問リハビリは、歩けなくなってから始めるものではありません
訪問リハビリについて、
「まだ歩けているから必要ない」
「もっと病気が進んでから利用するもの」
と思われることがあります。
しかし、次のような変化が出てきた段階で、一度相談することをおすすめします。
半年以内に転倒した
歩幅が小さくなった
歩き始めや方向転換で足が止まる
椅子から立つのに時間がかかる
トイレや入浴の介助が増えた
外出する機会が減った
寝ている時間が増えた
薬の効き方によって動きが大きく変わる
退院後の生活に不安がある
ご家族の介護負担が増えている
早い段階で生活環境や動作を確認することで、現在できていることを続けるための方法を考えやすくなります。
一方で、病状が進行している方や、寝たきりに近い状態の方でも相談できます。
その場合は、無理に歩行練習を行うのではなく、関節が硬くなることの予防、楽な姿勢の調整、移乗方法、ご家族の介助負担の軽減など、その方の状態に合った目標を考えます。
よくあるご質問
パーキンソン病でも訪問リハビリを利用できますか?
病状、生活状況、主治医の指示などを確認したうえで利用を検討できます。
訪問看護ステーションから理学療法士・作業療法士が訪問する場合は、主治医の訪問看護指示書に基づいて支援します。
訪問看護と訪問リハビリを一緒に利用できますか?
利用できます。
看護師が服薬や全身状態を確認し、理学療法士・作業療法士が身体機能や生活動作を確認するなど、役割を分担しながら支援します。
必要な訪問回数や組み合わせは、病状や生活上の困りごと、ご本人・ご家族の希望を確認して検討します。
病状が進行していても相談できますか?
ご相談いただけます。
リハビリの目的は、必ずしも歩行能力や筋力を大きく改善させることだけではありません。
関節の動きを保つ、楽な姿勢で過ごす、ベッドから車いすへ安全に移る、ご家族の介助負担を減らすなど、状態に合わせた支援があります。
飲み込みや声の小ささについても相談できますか?
むせ、食事量の低下、声の変化などがある場合は、まず看護師が全身状態や食事場面を確認し、主治医へ報告します。
専門的な嚥下・発声評価や訓練が必要な場合には、主治医や言語聴覚士などの関係機関との連携を検討します。
医療保険と介護保険のどちらを利用しますか?
年齢、要介護認定の有無、病状、利用するサービスなどによって異なります。
制度が複雑な場合もありますので、主治医、ケアマネジャー、訪問看護ステーションへご相談ください。
浪速区でパーキンソン病の訪問看護・訪問リハビリをお探しの方へ
ROKU訪問看護ステーションでは、大阪市浪速区・大国町を中心に、パーキンソン病をはじめとする難病の方の在宅療養を支援しています。
看護師と理学療法士・作業療法士が情報を共有しながら、
すくみ足や転倒への支援
立ち上がり、移乗、歩行練習
トイレ、入浴、更衣などの生活動作
服薬状況や全身状態の確認
福祉用具や自宅環境の相談
ご家族への介助方法の説明
主治医、ケアマネジャーとの連携
などを行います。
大国、敷津、浪速、塩草、立葉、幸町、難波元町、日本橋、恵美須・新世界など浪速区全域へ訪問しています。
西成区、中央区、天王寺区、大正区、西区などの周辺地域についても、場所や訪問状況によりご相談いただけます。
「まだ訪問リハビリが必要な段階か分からない」
「看護師とリハビリの両方に来てもらいたい」
「退院後、自宅で生活できるか不安」
という段階でも構いません。
ご本人とご家族が、住み慣れた自宅でどのように過ごしたいのかを一緒に考えます。
執筆者:宮本 真一郎
看護師。救急・急性期・手術室・離島医療を経験後、訪問看護に約8年間従事。癌末期・難病・医療依存度の高い方への訪問看護、在宅看取り、ご家族への支援に携わる。ROKU訪問看護ステーション代表。







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