尿道カテーテル(バルーンカテーテル)をつけたまま退院|自宅で気を付けることと訪問看護の役割
- 宮本 真一郎
- 8月8日
- 読了時間: 10分

入院中に尿道カテーテル(バルーンカテーテル)が挿入され、そのまま自宅へ退院することがあります。
ご本人やご家族からは、
「この管をつけたまま家で生活できるの?」「尿が出なくなったらどうしたらいい?」「血尿が出たけど大丈夫?」「家族が尿を捨ててもいいの?」
といったご相談をいただくことがあります。
尿道カテーテルを留置した状態でも、ご自宅で生活することは可能です。
ただし、尿路感染やカテーテルの閉塞、自己抜去などのトラブルが起こることがあるため、日頃から尿の状態やカテーテルを観察しておくことが大切です。
この記事では、尿道カテーテルをつけたまま退院される方とご家族に向けて、自宅で確認してほしいポイントと、訪問看護でできることを解説します。
尿道カテーテル(バルーンカテーテル)とは?
尿道カテーテルは、尿道から膀胱まで細い管を入れ、膀胱にたまった尿を体外へ排出するための医療器具です。
カテーテルの先端には小さなバルーンがあり、膀胱内でバルーンを膨らませることで簡単には抜けないようになっています。
そのため、「バルーンカテーテル」「膀胱留置カテーテル」「尿道留置カテーテル」などと呼ばれることもあります。
カテーテルはチューブを通して蓄尿バッグにつながっており、尿は基本的に膀胱からバッグへ流れていきます。
なぜカテーテルをつけたまま退院するの?
尿道カテーテルが必要になる理由は一人ひとり異なります。
たとえば、
前立腺肥大などによって尿が出にくい
神経因性膀胱などで自力排尿が難しい
病気や治療の影響で尿閉を起こしている
寝たきりなどで排尿管理が必要
全身状態や療養状況から継続的な尿量確認が必要
などがあります。
入院中にカテーテルを挿入しても、退院時点で抜去できない場合があります。
「カテーテルが入っているから退院できない」というわけではありません。
自宅で安全に管理できる環境を整え、主治医や訪問看護などと連携することで、カテーテルを留置したまま在宅療養を続けられる方も多くいらっしゃいます。
自宅で気を付けたい7つのポイント
1.尿がきちんと流れているか確認する
最も大切なのは、尿がカテーテルを通って蓄尿バッグへ流れているかです。
「いつもより尿が少ない」と感じたときには、まずカテーテルやチューブを確認します。
チューブが、
折れ曲がっていないか
身体の下敷きになっていないか
衣類などで圧迫されていないか
を確認してください。
尿量が減る原因はカテーテルだけとは限りません。水分摂取量の低下や脱水、腎機能の変化などでも尿量は少なくなります。
特に、尿がほとんど出ていない状態が続き、下腹部が張っている、痛みがある、落ち着かないなどの症状がある場合には、カテーテルが閉塞している可能性があります。
このような場合は無理にカテーテルを操作せず、訪問看護師や主治医へ相談してください。
2.蓄尿バッグは膀胱より低い位置にする
尿は重力によって膀胱からバッグへ流れます。
そのため、蓄尿バッグは原則として膀胱より低い位置に保ちます。
バッグを膀胱より高い位置に置くと、尿が流れにくくなったり、逆流する可能性があります。
また、バッグを床へ直接置くことも避けましょう。
ベッド上で過ごす場合だけでなく、車椅子への移乗や外出時にもバッグの位置を確認することが大切です。
3.カテーテルを引っ張らない
カテーテルは膀胱内のバルーンによって固定されています。
強く引っ張ると、
尿道を傷つける
出血する
カテーテルが抜ける
強い痛みが出る
可能性があります。
寝返りやベッドから車椅子への移乗、着替え、入浴・清拭などの際には、チューブがどこかに引っ掛かっていないか確認しましょう。
特に認知症やせん妄などがあり、カテーテルを自分で引っ張ってしまう方では注意が必要です。
4.尿の色や性状を観察する
尿を見ることは、身体の状態を知るための重要な観察になります。
普段から、
尿量・尿の色・濁り・血尿・沈殿物など
を確認しておきましょう。
カテーテルが入っている方では尿が濁ったり、沈殿物がみられたりすることがあります。
ただし、尿の濁りだけで「尿路感染」と判断できるわけではありません。
発熱や悪寒、下腹部痛、腰背部痛など他の症状と合わせて判断することが重要です。
5.尿路感染のサインを見逃さない
尿道カテーテルを長期間留置する場合、特に注意したいのが**カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)**です。
細菌などがカテーテルを介して尿路へ侵入し、感染を起こすことがあります。
注意したい症状には、
発熱
悪寒
下腹部痛
腰や背中の痛み
全身状態の悪化
などがあります。
高齢者では典型的な症状がはっきり出ないこともあるため、「いつもより元気がない」「食事が取れない」など普段との違いも重要です。
なお、カテーテルを留置している方では尿中に細菌が存在していても、必ずしも治療が必要な尿路感染症とは限りません。
症状や全身状態などを含めて医師が総合的に判断します。
6.蓄尿バッグの尿は定期的に捨てる
蓄尿バッグに尿がたまりすぎると重くなり、カテーテルが引っ張られたり、尿の流れに影響したりすることがあります。
バッグがいっぱいになる前に尿を捨てます。
排尿口を扱う前後には手を清潔にし、排尿口が便器や尿を受ける容器などに直接触れないよう注意します。
また、必要がないのにカテーテルと蓄尿バッグの接続部分を外すことは避けます。
尿道カテーテルでは、できるだけ閉鎖された尿の通り道を維持することが感染予防の基本です。
7.陰部を清潔に保つ
カテーテルが入っているからといって、特別な消毒を毎日行えば感染を防げるわけではありません。
日常的な清潔ケアを行い、尿道周囲に尿や便などの汚れを残さないことが大切です。
特に便失禁がある方では、排便後の陰部洗浄や清拭を丁寧に行います。
具体的な洗浄方法については、その方の皮膚状態や身体状況によって異なるため、退院時や訪問看護師に確認しておくと安心です。
こんなときは訪問看護師や主治医へ連絡を
尿道カテーテルを留置している場合、すべての変化が緊急事態というわけではありません。
一方で、早めの対応が必要なケースもあります。
特に、
尿が急に出なくなった
チューブの折れを直しても尿が流れない
下腹部が張って痛がっている
カテーテルが抜けてしまった
強い血尿が続く
血の塊が出て尿が流れにくい
発熱や悪寒がある
腰や背中に強い痛みがある
普段と比べて明らかに全身状態が悪い
といった場合には、訪問看護師や主治医へ相談してください。
状態によっては緊急受診が必要になることもあります。
カテーテルが抜けてしまったら?
在宅療養では、寝返りや移乗時に引っ掛かったり、ご本人が無意識に引っ張ったりして、カテーテルが抜けてしまうことがあります。
カテーテルが抜けた場合、ご家族が自分で元に戻そうとしないでください。
尿道を傷つける可能性があります。
カテーテルが抜けた時間、出血の有無、排尿の有無、ご本人の状態などを確認し、訪問看護師や主治医へ連絡します。
カテーテルが必要な理由によっては、再挿入を急ぐ必要があります。
血尿が出たらすぐ救急車?
カテーテルが入っている方では、カテーテルによる刺激などで尿に血が混じることがあります。
そのため、血尿が出たからといって必ず救急搬送が必要になるわけではありません。
ただし、
鮮やかな赤い尿が続く、血の塊が多く出る、尿が流れなくなる、強い痛みがある、血圧低下や意識状態の変化など全身状態に異常がある
といった場合には注意が必要です。
自己判断せず、訪問看護師や主治医へ連絡してください。
尿道カテーテルがある方に訪問看護でできること
尿道カテーテルを留置している方に対して、訪問看護では単に「尿を確認する」だけではありません。
ご本人の状態や主治医の指示に基づいて、
尿量・尿の色・混濁・血尿などの観察
カテーテルやチューブの状態確認
尿漏れや閉塞の確認
発熱など尿路感染を疑う症状の観察
陰部の清潔ケア
カテーテル固定状態の確認
ご家族への管理方法の説明
主治医との連携
必要に応じたカテーテル交換
などを行います。
カテーテル管理だけを見るのではなく、食事・水分摂取量、排便、皮膚状態、活動量、全身状態なども含めて確認するのが訪問看護の役割です。
退院直後は特にトラブルが起こりやすい
病院では看護師が日常的にカテーテルを確認していますが、自宅へ帰るとご本人やご家族が管理に関わる場面が増えます。
特に退院直後は、
「どのくらい尿が出ればいいのか分からない」「バッグの位置はこれでいい?」「少し赤い尿だけど連絡した方がいい?」「夜中に尿が出なくなったらどうしよう」
と不安になることも少なくありません。
そのため、退院前から病院・主治医・ケアマネジャー・訪問看護などで情報を共有し、自宅で困ったときの連絡先や対応方法を決めておくことが重要です。
内部リンク:退院後自宅で過ごすのが不安な方へ
夜間にカテーテルトラブルが起こることもあります
尿道カテーテルのトラブルは日中だけに起こるとは限りません。
夜間に、
「尿がまったく流れていない」「カテーテルが抜けてしまった」「急に血尿が増えた」
ということもあります。
尿閉のためにカテーテルを留置している方などでは、翌朝まで待たずに対応した方がよい場合もあります。
尿道カテーテルをつけた状態で自宅療養を始める場合には、夜間・休日に何かあったときに誰へ連絡するのかも退院前に確認しておくことをおすすめします。
内部リンク:24時間365日対応が必要な方へ
「カテーテルがあるから自宅は難しい」とは限りません
尿道カテーテルが入った状態で退院すると聞くと、ご家族が不安になるのは当然です。
しかし、
「カテーテルがある=自宅療養ができない」
ということではありません。
重要なのは、カテーテルそのものよりも、
何を観察するのか、異常が起きたとき誰に相談するのか、必要なときに医療職が対応できる体制があるか
ということです。
訪問看護を利用することで、ご本人の全身状態とカテーテルの状態を継続して確認し、異常の早期発見や主治医との連携につなげることができます。
内部リンク:医療処置が必要な方へ
大阪市浪速区周辺で尿道カテーテルをつけたまま退院される方へ
ROKU訪問看護ステーションでは、退院後も医療処置や医療的な管理が必要な方の在宅療養を支援しています。
尿道カテーテルをはじめ、点滴、褥瘡、在宅酸素療法、胃ろう、吸引など、医療的なケアが必要な方についても、主治医や病院、ケアマネジャーなどと連携しながら支援します。
「カテーテルをつけたまま退院すると言われたけれど、自宅で生活できるのか不安」
「家族だけで管理できるか心配」
という段階からでもご相談ください。
退院前から関係機関と情報を共有し、ご本人とご家族が安心して在宅療養を始められるよう支援していきます。
※カテーテルの管理方法や交換方法、緊急時の対応は、カテーテルを留置している理由や基礎疾患、主治医の指示によって異なります。本記事は一般的な情報であり、個別の対応については主治医・訪問看護師等にご確認ください。
内部リンク:お問い合わせ
執筆者:宮本 真一郎
看護師。救急・急性期・手術室・離島医療を経験後、訪問看護に約8年間従事。癌末期・難病・医療依存度の高い方への訪問看護、在宅看取り、ご家族への支援に携わる。ROKU訪問看護ステーション代表。







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