CVポートをつけたまま退院|自宅での点滴・管理と訪問看護の役割
- 宮本 真一郎
- 5 日前
- 読了時間: 10分

入院中にCVポートを使用して点滴や栄養管理を行っており、そのまま自宅へ退院することがあります。
退院が決まったご本人やご家族からは、
「CVポートが入ったままでも自宅で生活できるの?」「家でもCVポートから点滴できる?」「針が抜けたり感染したりしないか心配」「夜中に点滴が流れなくなったらどうしたらいい?」「PICCが入っている場合も訪問看護で対応できる?」
といった不安を聞くことがあります。
CVポートやPICCなどの中心静脈ルートがあるからといって、自宅療養ができないわけではありません。
主治医の指示のもと、訪問診療、訪問看護、病院、薬局などが連携し、自宅で必要となる点滴やルート管理、緊急時の対応方法を整えることで、在宅療養を続けられる場合があります。
大切なのは、
「CVポートがあるから退院できない」と考えるのではなく、自宅で安全に管理するために何が必要なのかを退院前から整理することです。
CVポートとは?
CVポートは、中心静脈カテーテルの一種です。
一般的には胸部などの皮膚の下に「ポート」と呼ばれる小さな器具を埋め込み、そこから伸びたカテーテルの先端が太い静脈に留置されています。
点滴を行うときは、皮膚の上からポート部分に専用の針を刺し、薬剤や輸液を投与します。
皮膚の下に本体が埋め込まれているため、使用していない時には体外にチューブが出ていないこともCVポートの特徴です。
抗がん剤治療、中心静脈栄養、長期間または繰り返し必要となる点滴などに使用されることがあります。日本IVR学会のガイドラインでも、CVポートは在宅を含め長期的な管理が必要となる中心静脈アクセスとして位置づけられています。
PICCとは?CVポートとの違い
PICCとは「Peripherally Inserted Central Catheter」の略で、日本語では末梢挿入型中心静脈カテーテルと呼ばれます。
検索では「PICCカテーテル」と呼ばれることも多く、腕の静脈からカテーテルを挿入し、先端を中心静脈付近まで留置します。
CVポートとの大きな違いは、PICCではカテーテルの接続部分が体外に出ていることです。
CVポート | PICC | |
主な留置部位 | 胸部・上腕部など | 上腕 |
体外にルートが出るか | 未穿刺時は基本的に出ない | 出ている |
点滴時 | ポートへ専用針を穿刺 | 外に出ている接続部から使用 |
日常管理 | ポート部・穿刺部の観察 | 刺入部・固定・ドレッシングの管理が重要 |
自宅療養 | 可能 | 可能 |
どちらも、「自宅で点滴を続けるためのルート」として使用される場合があります。
ただし管理方法は同じではないため、退院時には「CVポートなのかPICCなのか」「どの製品を使用しているのか」「どのような管理方法になっているのか」を病院と訪問看護で共有しておくことが大切です。
CVポートやPICCがあっても自宅へ退院できる?
病状や必要な治療によって異なりますが、CVポートやPICCを留置したまま自宅へ退院することはあります。
在宅では、
補液
抗菌薬などの点滴治療
中心静脈栄養
がん治療に伴う薬剤投与
緩和ケアに必要な薬剤投与
などに中心静脈ルートが使用される場合があります。
実際に、終末期がん患者の在宅療養でもCVポートを使用した持続点滴が行われています。
ただし、「CVポートがある=どんな点滴でも訪問看護だけで行える」という意味ではありません。
使用する薬剤、投与方法、点滴回数、医師からの指示、必要な医療材料、薬剤供給体制などを確認したうえで在宅療養の体制を整える必要があります。
自宅で特に気を付けたいこと
1.CVポートやPICC周囲の皮膚を見る
CVポートではポート周囲や穿刺部、PICCではカテーテルの刺入部を観察します。
赤み、腫れ、熱感、痛み、浸出液など、普段と違う変化がある場合には感染や皮膚トラブルなどの可能性があります。
特にPICCでは、刺入部だけでなく、留置している側の腕の腫れや痛みなどにも注意します。
CVポートでは感染、皮下ポケット感染、カテーテル閉塞などが報告されており、皮膚状態や薬液漏れの有無を確認することが重要です。
2.発熱や寒気など全身状態の変化にも注意する
中心静脈カテーテルの管理で見るのは、ルートだけではありません。
「急に熱が出た」「寒気がする」「いつもよりぐったりしている」「血圧が下がっている」「反応がいつもと違う」
といった変化がある場合には、感染症なども含めて全身状態を確認する必要があります。
特にがん治療中や体力が低下している方では、ルート周囲に目立った変化がなくても全身症状から異常が分かる場合があります。
3.点滴中の腫れ・痛み・漏れをそのままにしない
点滴中に、
「ポートの周りが腫れてきた」「刺しているところが痛い」「液が漏れているように見える」「いつもより点滴が落ちにくい」
といった場合には、そのまま点滴を続けず、訪問看護師や主治医などあらかじめ決められた連絡先へ相談します。
流れにくいからといって、ご本人やご家族が無理に押し流したり、ルートを操作したりしないことが大切です。
4.PICCは固定とドレッシングも重要
CVポートと違い、PICCは体外にカテーテルが出ています。
そのため、
固定が外れていないか、テープが剥がれていないか、濡れていないか、カテーテルが以前より抜けてきていないか
なども確認します。
PICCでは固定状態を含めた適切なカテーテル管理が合併症の予防に重要とされています。
5.お風呂やシャワーはCVポートとPICCで違う
CVポートは本体が皮下に埋め込まれているため、創部が治癒し、針を刺していない時には、医師の許可のもと通常の入浴やシャワーが可能になることがあります。
一方、PICCは刺入部とカテーテルが体外にあるため、シャワー時には刺入部を濡らさないよう保護するなどの管理が必要です。
CVポートに針が刺さった状態で点滴を継続している場合についても、ドレッシングやルートを濡らさないよう、その方の管理方法に合わせて対応します。
退院前に、
「お風呂はどうするのか」「シャワーの時はどこを保護するのか」
まで具体的に確認しておくと、自宅へ帰ってから困りにくくなります。
訪問看護ではCVポート・PICCの何を見るの?
訪問看護では、CVポートやPICCそのものだけを見るわけではありません。
主治医の指示や患者さんの状態に応じて、
点滴の実施・管理、CVポートやPICCの刺入部・穿刺部の確認、発赤・腫れ・痛み・漏れの有無、ルートや接続部の確認、必要な穿刺・抜針やドレッシング管理、バイタルサインや全身状態の観察、点滴による治療効果や副作用の確認、ご本人・ご家族への説明、主治医や薬局との情報共有
などを行います。
そして大切なのは、
「CVポートを管理すること」が目的ではなく、CVポートを使いながらその人が自宅でどう生活するのかを見ることです。
病院では問題なく点滴ができていても、自宅に戻ると、
「点滴台をどこに置くのか」「トイレへ行く時はどうするのか」「寝返りでルートを引っ張らないか」「家族がどこまで見ればいいのか」「夜にトラブルが起きたらどうするのか」
といった、生活の中だからこそ出てくる問題があります。
訪問看護は、実際のご自宅を見ながら、その方に合った方法を一緒に考えることができます。
がん末期では「CVポートがあるから点滴を続ける」だけではありません
CVポートは、がん末期・終末期の在宅療養でも使用されることがあります。
しかし、ここで大切なのは、
CVポートがあるから点滴を続けるのではなく、その時のご本人にとって点滴がどのような意味を持つのかを考えることです。
病状が進行すると、食事や水分を十分に取れなくなることがあります。
一方で輸液量によっては、むくみ、胸水・腹水など体液貯留に関係する症状が問題になることもあり、終末期の輸液はご本人の状態や苦痛を見ながら個別に検討する必要があります。
訪問看護では、
食事や水分摂取量、尿量、むくみ、呼吸状態、腹部の張り、倦怠感、ご本人の苦痛、ご家族の思い
などを確認し、主治医へ状態を共有します。
「点滴をすること」ではなく、「ご本人が少しでも楽に、その人らしく過ごせること」を中心に考える。
これはROKUががん末期・終末期の訪問看護で大切にしている視点です。
退院前カンファレンスで確認しておきたいこと
CVポートやPICCを使用した状態で退院する場合には、退院してから考えるのではなく、できるだけ病院にいる段階から在宅チームで情報共有しておくことが重要です。
現在使用しているルートの種類、留置部位、使用している製品、点滴の内容と目的、投与時間、ルート交換や穿刺・抜針の方法、必要な物品、薬剤や物品の供給方法、訪問看護の訪問頻度、主治医・訪問診療との連携方法、夜間や休日の連絡先、トラブル時の対応方針などを確認しておきます。
ROKU訪問看護ステーションでは、退院日が決まる前の段階や、退院前カンファレンスからのご相談にも対応しています。
夜間にCVポートや点滴のトラブルが起こることもあります
点滴やルートのトラブルは、平日の日中だけに起こるとは限りません。
「夜中に点滴が止まった」「ポートの周りが急に腫れてきた」「PICCの接続部が外れた」「針やルートが抜けてしまった」「急に発熱した」
ということも考えられます。
だからこそ退院前には、夜間・休日に何か起こった時に、誰へ連絡するのかを決めておくことが重要です。
ROKU訪問看護ステーションでは、24時間365日の対応体制を整え、夜間や休日の状態変化にも備えています。
「CVポートがあるから自宅は難しい」と最初からあきらめない
CVポートが入っている。
PICCが入っている。
毎日の点滴が必要。
中心静脈栄養を続けている。
がんが進行している。
こうした医療処置があると、
「病院にいなければいけないのではないか」
と思われるかもしれません。
もちろん、病状や治療内容によっては入院が必要な場合もあります。
それでも私たちは、
医療処置があるという理由だけで、「自宅で過ごしたい」という選択肢を最初からなくしてしまう必要はない
と考えています。
必要な医療処置をどう支えるのか。
夜間はどうするのか。
ご家族にどこまでお願いするのか。
医療者が担うべき部分は何なのか。
それらを一つずつ整理しながら、可能な方法を考えていきます。
大阪市浪速区周辺でCVポート・PICCを使用した在宅療養をご検討の方へ
ROKU訪問看護ステーションでは、大阪市浪速区・大国町を中心に、CVポートやPICCを含め、退院後も医療処置が必要な方の在宅療養を支援しています。
「CVポートから点滴を続けながら自宅へ帰りたい」「PICCが入っている方を受け入れてくれる訪問看護を探している」「がん末期で中心静脈から点滴をしている」「家族だけで管理できるか不安」「退院日はまだ決まっていないが、自宅に帰れるか相談したい」
そのような段階からでもご相談ください。
ROKU訪問看護ステーションが大切にしているのは、
「自分の大切な家族もROKUで看たい」と思える看護。
病気や医療処置だけを見るのではなく、ご本人がどこで、誰と、どのように過ごしたいのかを考えます。
医療処置が必要になっても。
病状が進行しても。
「自宅で過ごしたい」という想いを、簡単にあきらめない。
主治医、病院、ケアマネジャー、薬局など地域の医療・介護職と連携しながら、その方の生活を支える方法を一緒に考えていきます。
※CVポート・PICCの管理方法、点滴内容、穿刺・抜針、ルート交換、フラッシュ方法、入浴方法、緊急時の対応などは、使用している機器や患者さんの状態、主治医・医療機関の指示によって異なります。必ず個別の指示に従ってください。
参考文献・参考資料
日本IVR学会「中心静脈ポート留置術と管理に関するガイドライン」
日本麻酔科学会「安全な中心静脈カテーテル挿入・管理のためのプラクティカルガイド2026」
日本がん看護学会ほか「がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン 2023年版 第3版」
Centers for Disease Control and Prevention(CDC), Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections
執筆者:宮本 真一郎看護師。救急・急性期・手術室・離島医療を経験後、訪問看護に約8年間従事。癌末期・難病・医療依存度の高い方への訪問看護、在宅看取り、ご家族への支援に携わる。ROKU訪問看護ステーション代表。







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